MORRISON & CO., LTD. - TOPICS 2023

TOPICS

ロベルタ・ベイリー、ゴドリス インタビュー

今回は写真家ロベルタ・ベイリーとゴドリスのインタビューを紹介。
この記事は先日他界したトム・ヴァーレインとそのバンド「テレヴィジョン」を撮影した5人の写真家へのインタビューで、それぞれがテレヴィジョンとヴァーレインとの思い出を語っています。

WATCHING TELEVISION AND SEEING TOM VERLAINE
https://www.grandlife.com/culture/interviews/tom-verlaine-television-interview-richard-boch/

ロベルタはテレヴィジョンがライブ活動を始めた初期、1974年から彼らを知っていたそうです。
「テレヴィジョンはそれまで観たり聴いたりしていたバンドとは全く違ってた。生々しく混とんとしていて、破れた服に短く逆立った髪、細く痩せていて、時速100マイルで進んでるみたいだったわ」
正に後のパンクファッションの原型みたいですね!

pic

1976年にバンドの広報用写真を撮影して欲しいと頼まれたロベルタさん。
「私にしては膨大な量だった」というフィルム5本相当の写真の中から、ヴァーレイン自ら選んだのがこの一枚。
「私もこの写真がいいと思ってたんだけどね」
「彼がこの写真を選んだのは(自分が)眼を閉じているからという理由では無いと思うけど、でも彼はこの写真を選んだの。トム(ヴァーレイン)以外の人なら選ばなかったでしょうね」
独特な眼光が特徴のヴァーレインだけに、逆に眼を閉じているのが印象的ですね!

ゴドリスさんにとってテレヴィジョンは、伝説のライブハウスCBGBで観た最初のバンドだったそうです。
「彼らの曲は、当時自分が写真でやろうとしていた事の、サウンドトラックみたいなもの」
「自分の写真をテレヴィジョンの音の様な写真にしたかったんだ」
デジタルカメラもフォトショップも無かった70年代当時、ゴドリスさんはフィルムの感光や現像方法などを試しながら、自分の理想とする「フラッシュ無しで撮る夜の情景」を追求していたそうです。そしてそうした作業中は常にテレヴィジョンの曲が脳裏にあったり、実際にアルバムを聴いていたことを明かしています。
その影響はとても大きいようで、インタビュー中では、共感しインスパイアされていたというヴァーレインによる歌詞をいくつも引用しています。

pic

紹介されている写真は1977年秋に、ゴドリスやテレヴィジョンのメンバーが住むイーストヴィレッジの通りで撮影されたもの。 友達伝いに撮影を依頼されて、直ぐに引き受けたそうで、
「『欲しいものは今すぐに』(What I want, I want now)が、僕の撮影に関するモットーだからね」
と、ここでもテレヴィジョンの曲「See No Evil」の歌詞の冒頭を引用。
本当にテレヴィジョンが好きなのが伝わってきますね!

撮影は夕方から日没まで行い、撮影が始まってからしばらくは、通りを歩くメンバーの前を、後ろ向きに歩きながら撮影を続けたそうです。
「最初はトムもちょっと困惑していたみたいだったよ、バンドメンバーは誰も僕に話しかけなかったね」
「実は、陽が沈んで街灯で照らされる彼らを撮りたかったから、それまで飽きさせないで歩かせるのが目的だったんだ」
ゴドリスさんには珍しくカラー写真のこの一枚ですが、街灯で照らされた4人の姿からは、確かにニューヨークのダウンタウン特有の雰囲気が伝わってきますね!

この撮影時のエピソードはゴドリスさんのブログでも紹介されています。英語になりますが、ご興味のある方はぜひ (因みにブログエントリーのタイトルもテレヴィジョンの歌詞をもじっています):

Godlis ブログ DIARY OF A LUNATIC PHOTOGRAPHER
https://godlis.blogspot.com/2012/02/first-avenue-looked-so-medieval.html